
「ワンチップスーパーファミコンはあるのか」
そんななんとなくの疑問を解決するための本体探し。
スーパーファミコンの内部
続・スーパーファミコンの内部
スーパーファミコンの内部・完結編 この3記事からはみだした、総合的なまとめをここに記したいとおもいます。
○推測される販売時期
インターネット上で、さも常識のように流れている判定方法は非常に簡単なものでした。
「日本製で、シリアルナンバーがSで始まり、樹脂足が4箇所なのが初期型」
「中国製で、シリアルナンバーがSMではじまり、樹脂足が2箇所なのが後期型」
これは、「そういうこともある」程度の判定方法でしかありませんでした。
図にまとめると以下のとおり。

上記図の年号は基板に記された年号で判断しているため、販売時期とはズレが生じる可能性があります。
「樹脂足4つ」は「日本製」しか見たことがありません。ですので「日本製で樹脂足4つは初期型」というのは断片的には正しいのです。
しかし、その後も「日本製」の「樹脂足2つ」のモデルが出続けており、入手した最終型「1CHIP-03」も日本製でした。
「後期」を判断するのであれば、注意書きシールが「三角に!」に変わっているものは比較的新しいといっていいでしょう。
「1995」が刻まれた基板は種類が多く、この時期に市場縮小や値下げを意識した徹底したコストダウンが行われていたことが推測されます。
○年代別出荷台数から推測するワンチップ機の割合
検索で「テレビゲームの変遷」(pdfファイルです)と題された論文を発見しました。
こちらに、年別のスーパーファミコンの販売台数があったので、それを引用します。
年 | 台数 | 備考 |
1990 | 66万台 | |
1991 | 315万台 | |
1992 | 358万台 | |
1993 | 443万台 | |
1994 | 265万台 | プレイステーション・セガサターン発売 |
1995 | 178万台 | 4000円安くなるクーポン同梱 |
1996 | 62万台 | NINTENDO64発売 定価9800円に |
1997 | 19万台 | |
1998 | 5万台 | スーパーファミコンジュニア発売 |
1999 | 3万台 |
この資料の数値によると、総計1714万台中、96年以降に販売された本体は89万台。
総数の5.2%にしかならず、98年に「スーパーファミコンジュニア」が出たことを総合すると、「ワンチップのスーパーファミコン」の割合はさらに下がると推測されます。
「そりゃぁみつからないはずだ」と言うのが正直なところです。
中古市場で「樹脂足4つモデル」と「樹脂足2つモデル」を半々ぐらいで見るのも、
92年までの3年間で739万台で総数の43%という数字を考えると納得出来る数字だと考えます。。
○基板変更タイミングと、販売価格
96年の定価改定以前にも、すでに店頭価格は1万円前半まで価格が下がっていたようですが、「4000円安くなるクーポン」時期にコストダウンのための整理が一気に進み、翌年96年のNINTENDO64発売とそれに伴う値下げに備えていたようにもとれます。
基板「APU」でサウンドチップを1チップ化。つづいて、「1CHIP」でCPUとPPUの1チップ化。
これだけでチップ数が3つ減っているので、それなりのコストダウンにつながったと想像されます。
それを一気に変えるのではなく段階を踏んで変えていくことでリスクを回避したようにも感じます。
1チップが標準となっている「スーパーファミコンジュニア」はコントローラを1つにへらしたり、S端子非対応、サテラビュー非対応とさらにコストを下げ、定価は7800円まで下がり、最終的に2003年に生産終了が発表されました。
光学ドライブなどの可動パーツが無いことから、ジャンク扱いでも動作する本体が多く残っている名機だと思っています。
「相性で動かないソフト」という話は聞いたことがないので中身を気にする必要はほぼ無いと思いますが、こんなこともあるよと雑学的に捉えていただければとおもいます。